そのひぐらし

バンドそのひぐらしの音楽活動をお届けします

カブト虫

あなたの思う理想の男像とはどんなものか?

優しい? 面倒見がいい? 料理ができる? 

残念だが現代でチヤホヤされるようなそんなもんは男ではない。

嵐の日本海のように荒々しく猛るますらおこそがザ・男である。

あなたはカブト虫をご存知だろうか?

カブト虫のオスは闘争心が強く、食欲、性欲ともに旺盛の大飯喰らいの絶倫野郎なのだ。

しかも黒く、硬く、大きい方が良いとされる。

現代人の忘れてしまった男の生き様を貫く熱き昆虫なのだ。


この夏、我が家には3匹のカブト虫がいた。

2匹のオスと1匹のメス。

虫かごの中は縄張りとエサと女を奪い合う戦場であった。

片方のオスは体が大きく、赤みを帯びた黒色をしている。こちらを伝説の巨大熊から名前をいただき「赤カブト」としよう。

もう片方は少し体が小さく、幾度かの戦いを経て角の先っぽの二股に別れた角の片方が欠け、6本ある足の内の1本が抜けている。こちらは「隻腕」としよう。

メスは適当に「イザベラ」とする。

お察しの通り、勝負はいつも赤カブトの勝利である。

私としては隻腕を不憫に思い、昆虫ゼリーを二匹分置いといてやることぐらいしかできなかった。

もう1匹メスを捕まえてきて、隻腕にあてがってやれば4匹で仲良く乱交パーティーが始まるかとも思ったが、なかなかに億劫でメスを捕まえに出かけられずにいた。

そして夏の終わりが近いある夜、いつものようにギシギシ、キュイキュイと交尾の音が聞こえてきた。

なんとなく虫かごを覗いてみると、な、何と!

隻腕が赤カブトに犯されている!

力の差は歴然。

急いで2匹を引き離し、その間にイザベラを配置しても赤カブトは真っ直ぐ隻腕に向かっていく。

縄張り、エサ、女を奪われ更には貞操を奪われる隻腕。

あまりにも不憫だ。

イザベラはイザベラでプライドがズタズタであろう。

そして阿鼻叫喚の夜は毎夜続いた。

これがもしあなたならどうだ?

密室に閉じ込められ、美女を押しのけボブ・サップのような巨漢に毎夜犯される様を想像してもらいたい。

地獄である。

このままでは隻腕が犯され死んでしまう。

そんな死に方はあまりにあんまりだ。

その週末、私は近所の林に3匹を逃がすことにした。

さらば隻腕よ。 もう人にも赤カブトに捕まるなよ。

それにしても赤カブトよ、男まで喰らうとは見上げた男だぜ。


  1. 2017/10/02(月) 19:37:00|
  2. 岡嵜豊の日記 「豊饒のマントラ」
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2